もし、奥歯を1本失くしてしまったら、どうしたらよいでしょうか。虫歯を放置していたなどで、若くても1本や2本歯を失ってしまう人は意外と多いものです。奥歯1本なくしたくらいでは何ということはないのではと思ってしまいますが、失った奥歯と噛み合っていた歯は相手がいなくなり、伸びてくることが知られています。すると、かみ合わせや歯並びが崩れたり、伸びた歯が弱ってしまったりして、結局その歯も失ってしまうことになりかねません。
それを防ぐには抜歯した歯の代わりになるものを入れる必要があり、それには3つの方法があります。ひとつは部分入れ歯です。取り外し可能で、装着する時は隣の歯にばねのような金具をひっかけて固定します。保険が利くことが多いですが、毎食後取り外して洗浄する必要があり手間がかかります。
違和感を感じる人も多く、若い人には自分が「入れ歯」という抵抗感が大きく受け入れにくい選択肢ではあります。次はブリッジです。義歯を作り、失った歯の両隣の歯を少し削ってかぶせます。保険が利くので安価にできますが、失った歯が最も奥の歯だった場合は、ブリッジが梃子のような形となり不安定で壊れやすくなります。
最奥の歯にはお勧めできません。入れ歯もブリッジも、近隣の歯を傷めるリスクのある治療法です。その点インプラントであれば、残っている健康な歯を痛めることはありません。人工歯根を埋め込んで義歯をかぶせる方法なので、義歯が浮いた感じや違和感も少なく、自分の歯のように自然に噛むことができます。
保険外診療となり他の治療法と比べ費用がかかりますが、インプラント治療にかかった費用は医療費控除の対象になっています。今では、多くの歯科でインプラント治療を手掛けるようになり、費用や治療の手法などについても患者側の選択肢が増えてきています。